医療安全を概観する 〜リスクマネジメント〜
今回は医療安全について書きたいと思います。大学院の授業での自分メモを備忘録的にまとめます。
日本の医療安全のきっかけ
1999年1月 横浜市立大病院「患者取り違え手術事故」
- 2名の患者を1名の看護師が申し送り
- 患者とカルテが別々にオペ室へ入室
- おかしい、と感じたスタッフもいたが防げなかった
→リストバンドが導入された
1999年2月 都立広尾病院「消毒液点滴誤注入事故」
- 同型のシリンジでヘパ生とヒビテングルコネートを同時に準備していた
- 処置台に複数のシリンジが混在して置かれていた
→色付きシリンジ、カテーテルチップの導入、1患者1トレーの徹底
1999年は「医療事故元年」として今でもこの2つの事故は教訓として語り継がれている
国(厚生労働省)の動向
前述の重大事故を受け、国(厚生労働省)が制度改革に乗り出した
- 2000年:特定機能病院に対する医療安全対策委員会開催と事故報告の義務づけ
- 2002年:「医療の安全を確保する為の措置」4項目の義務づけ
- 2007年:医療安全の確保にかかる医療機関の管理者の義務の明文化、診療所にも医療安全について義務づける
その後も診療報酬改訂で医療安全加算をベースに制度の改訂が行われている
医療事故のメカニズムを理解する
事故が発生!原因を分析する際、医療事故のメカニズムを理解して分析することが重要である。
事故には「ミステイク mistake」と「スリップ slip」に分けられる
- ミステイクを防ぐには…知識の強化、(正しい)情報収集、理論の理解が大切である。思い込んだら自ら発見することは難しいため、チームで発見しディスカッションし合うことが大切!
- スリップを防ぐには…多重業務を避け、自分のペースで集中して行うことが大切である。指差呼称や環境整備が重要!
まずはヒト以外の要因を考える
ヒトの意識(無意識)や知識不足など以外に、モノや環境がヒトのエラーを誘発していないかを考える
事故を戦略的に考える
基本的には「人の意識や知識に頼らずに防げるシステム」を目指す!
→人は誰でも間違うもの、思い込むもの、それでも事故を防げるように戦略的に分析する
上記の11項目の視点で医療現場や実際のインシデントを分析し、戦略的かつ論理的に対策を講じることが大切!
もっとも重要なことは、インシデントは絶対に個人の資質や能力を責めてはいけません。インシデントレポートは、職場環境がより安全に、効率的になる良いきっかけです。インシデントはみんなで共有し、組織的に対策することで無駄を省き、安全性を高めることにつながるのです!