小児の発達理論1、2ではフロイト・エリクソンの精神分析理論について簡単にまとめました。今回と次回は認知発達理論について、ピアジェとヴィゴツキーの2人にフォーカスして概観したいと思います。
認知理論 Cognitive Theories
・精神分析理論は、無意識の重要性を強調するが、認知理論は意識的な思考を重視する
・3つの重要な認知理論:ピアジェの認知発達理論、ヴィゴツキーの社会文化的認知理論、情報処理理論 がある
ピアジェの認知発達理論
【主張】
・子どもは、彼らなりの世界に対する理解を積極的に構築するために、認知発達の4段階を経験している
…認知的構成の基礎となる2つのプロセスが、組織化と適応 organization/adaptation
・私たちの世界の感覚を作るために、経験を組織化している
(ex)重要な考えとあまり重要でない考えを分けている / 1つの考えと他のものを結びつけている
・観察と経験を組織化することに加え、新しい環境的要求に適応している
【ピアジェの考える4段階】
①感覚運動期(Sensorimotor Stage) ②前操作期(Pre-operational Stage) ③具体的操作期(Concrete Operational Stage) ④形式的操作期(Formal Operational Stage)
*それぞれのステージは年齢と関係があり、個別の思考方法からなり、世界を違う方法で理解している
*それぞれのステージで質的な違いがある
①感覚運動期(-2y):身体的行為による感覚的経験を調和することによって世界の理解を構築する。反射的で本能的行為によって進歩する
②前操作期(2y-7y):身体的行為による感覚的情報を単に結びつけるということを超えはじめ、増加した象徴的思考の反映である言葉や想像、描写によって世界を表現する。しかし、この時期の子どもはピアジェがいう「操作」を実行する能力がない。
*操作…ピアジェの理論で重要な概念。子どもが以前ただ身体的にできたことを、知的に実施できる精神的動き
(ex)2本の棒の長さを比べるとき、実際に棒を隣り合わせに動かすことなく、頭の中で棒の長さを比べること。前操作期の子どもは、実際に棒を隣り合わせに動かさないとどちらが長いか判断できない。
③具体的操作期(7y-11y):物体に関連した操作を実行することができ、理由づけが明確で具体的な例を当てはめられるとき、理論的な推論ができる。
(ex)この時期では、代数的方程式を完全に解くのに必要なステップをイメージすることができない=加減乗除はできる(=算数はできるが数学はできない)
④形式的操作期(11y-):個人は擬態的経験を超えた抽象的でより理論的観点で思考する。青年期は想像上の出来事のイメージを発達させ、より抽象的・観念的・理論的方法で推論する。将来の可能性を楽しみはじめ、何になれるのかということに魅了されていく。問題解決をする中で、より体系的になり、なぜその方法で物事が起きているのかを推察し、これらの推論を試すことができる
ピアジェの認知発達理論は、昨今の認知理論や発達理論にも多大な影響を与えた理論である。子どもの行動を観察し、外界理解についてその行動の経験がどのように子どもの中で組織化されているのかを理論化した。