日本看護管理学会に出席して感じたこと

お久しぶりです。少し生活がバタバタしており、更新できずにいました。

そんな中、先日パシフィコ横浜で行われた、日本看護管理学会に出席してきたので、その感想について記事を書こうと思います。

大学院生としての立場、これからアカデミックの世界で看護管理を考えていこうとしている立場から、今回学会に出席して感じたことを書きたいと思います。



臨床とアカデミアが看護管理についての将来を考える学会

分野系の学会には今回出席した日本看護管理学会しか出席したことはありませんが、昨年同様、臨床の看護部長や看護師長など、実際に看護管理をされている方、僕たちのようにアカデミアにいて看護管理を専門としている方が、どちらも同じくらい(感覚としては臨床の方々のほうが多く感じましたが)で、比較的参加者も多い印象でした。

看護系の学会はまだ参加者はそれほど多くないので、看護管理学会は看護の中でも大きい学会だなあと改めて感じました。

演題発表も、所属を見るとややアカデミアの割合が多いように思いましたが、発表や雰囲気を見るに、臨床の方が大半なのかな、という感じでした。

パネ流ディスカッション等の催し物も、臨床で部長をされている方がパネラーとして発表してくださったりと、臨床・アカデミア双方から看護管理を考えるスタイルの学会であることを再認識しました。

臨床の方々の熱い想い

演題発表の中には、「修士の研究発表かな」と思うような研究発表がいくつかありました。中には、方法論としての矛盾は少ないように思えるけれど、そもそもの研究の出発点(リサーチクエスチョンの選定)が、臨床で実際に管理をされている方々と温度差があり、「結果はよくわかりましたがつまり今後私たちはどうしたら良いのでしょうか?」という趣旨の質問が投げかけられることがありました。

僕もそうですが、アカデミックな世界にいると、「こうしたら看護はもっと良くなるのではないか」「きっとこうしたらもっと良くなる」というような、個人の視点から抜け出せないことがよくあります。

今回の学会発表でも、いくつかそうした発表が見受けられ、改めて「臨床の方々が求めている研究」「臨床の方々にとって有意義な研究」という視点の重要性を強く感じました。

研究の方法論の課題

中でも特に気になったこととして、「研究の方法論」についてです。

看護系の学会ではあまり研究の方法論について議論されることは少ないように感じますが(特に今回の学会のように、臨床系の人が多いとなおさら少ないように思います)、今回は比較的研究の方法論についての質疑が多かったです。

タイトルの表現についてや、目的と合致している対象者なのか、尺度開発の手順や量的研究において用いた尺度の信頼性・妥当性など、まさにテクニカルな質疑があがっていました。

質問を投げかけていたのは大学教員がほとんどでしたが、いずれも的を射ていて(僕がこう表現するのは痴がましいですが)、聴いていて同じく疑問に感じたポイントでした。

こういった質問を投げかけた先生たちからは、どこか本当の意味での看護の知、研究を通じてエビデンスを確立していこうという気概が強く感じられました。

一方、質問を投げかけられていたのは主に(おそらく)大学院生たちで、ディフェンスの中にはあまり論理的でなく自分の思いでこういった方法論に対する質問に答えてしまっている方も中にはいて、今後自分が学会発表する際の参考になりました。



演題の傾向と看護管理

今年の演題は例年とあまり大きく変化がなかったように思いましたが、企画ものに関しては、慶應義塾大学さんが主催だったこともあるのか、人工知能やロボットなど、工学系の内容が多かったように感じました。

演題の傾向としてはやはり「ヒトをどう管理するか」というような着眼点での演題がほとんどでした。僕の研究テーマと合致するので、参考になる研究もとても多く、ブースをふらふら歩くだけで勉強になったり刺激になったりしました。

一方で、経営参画的な視点での演題がほとんどなかったことが気になりました。看護管理者のトップである看護部長(あるいは広い意味で組織における看護師)が、組織のガバナンスにどう影響していて、どういったアウトカムがあるのか、というような研究がもっとあってもいいのにな、と感じました。

研究自体が難しいテーマではありますが、日本の看護管理のトップでの学会でこのようなテーマを議論していくことで、外部に向けて看護師の必要性や有用性を強くアピールできるのではないかと感じました。


自分の研究も徐々に進みつつある中で、テーマが同じ学会に出席することで、刺激になりましたし、考えること、考え直す必要があること、学びが多かったです。

今回の学んだことを、来月行われる自分の学会発表に活かせたらな、と思いました。

もし興味のある方や質問等がございましたら気軽にご連絡ください☆



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hugin: