大学院に進学して1年半が経過しました。
今回は、「大学院ってどんなところ?」「大学院で何をしているの?」という疑問に答えていこうと思います。実際この質問は大学院入学当初から比較的多くの方から質問を受けていて、当初は自分もよくわかっておらず、「うーん…研究してるよ」くらいの返答しかできませんでした。
ですが、1年半が経過して、大学院のミッションや求められていることがわかってきたので、記事にしてみようと思います。大学院に興味のある方はぜひ参考にしていただけると嬉しいです!興味のない方も、「こんな世界があるんだ〜」って感じで読んでいただけると幸いです(^ω^ )
大学院の課程にも様々ある
大学の場合、多くは4年制で、医歯薬・獣医系は6年制で、この2種類でしょう(学士編入は除く)。
大学院は、ご存知の方も多いと思いますが、「修士課程」と「博士課程」に大別される。また、数は少ないですが、「5年一貫博士課程」というものもあります。
4年制大学を卒業した人(あるいはそれと同等の能力を有する人)が修士課程に進学することができます。学部が6年制だった人は、修士課程修了と同等の能力を有するとされ、そのまま博士課程に進学することもできます。
ちなみに、学位の最高位である「博士」には、修士課程→博士課程を経て取得できる「学術博士(PhD)」と、6年制課程→博士課程を経て取得できる「医歯薬・獣医学博士」があります。
修士課程で身につけるもの、求められるもの
前述しましたが、学士取得後進学できるのが修士課程です。多くの大学院では2年制で運営されています。
看護系大学院では、臨床経験を経て進学する人がほとんどですが、最近では助産師課程の多くが修士課程で行われつつあるので、そういった方々は学士取得後ストレートで大学院に進学しています。
修士課程では、求めるもの、身に付けるものとして、専門性の追求と研究を行う能力があげられると思います。
看護系大学院では、修士課程に専門看護師養成課程を持っている大学院も少なくなく、それぞれの分野のいわゆる「エキスパート」を養成するミッションがあります。それに加えて、臨床で起きている現象をより科学的に分析し、その現象を一般化して臨床実践に資するものにするために、一般的な研究法を学び実際に研究を遂行できる能力を身に付けるというミッションもあります。
もっと平たく言うと、「修士を取ったら、自分の専門分野の知識は身につけていて、なおかつその専門知識と研究的視点で現場の現象をみれるようになってね」ということです。
ですので、卒業生の進路は、臨床現場に戻る人もいればそのまま博士課程に進学する人、教育機関や行政に就職する人など様々です。
博士課程で身に付けるもの、求められるもの
修士課程までは、実際のところ、専門分野の勉強と、研究の自律性が半分半分、って感じだと思います。
ですので、修士課程は授業も多く新たに勉強することも多いですが、博士課程は違います。授業もほとんどありませんし、専門分野や周辺分野の基礎を広く浅く学ぶこともあまりないでしょう。
しかし、博士課程卒業生の進路が物語るように、多くが研究者を志望していて、その生活は研究一色になります。
博士課程終了後には、自律して研究をし、さらに研究をリードできる能力を身に付ける必要があります。加えて、研究者もミッションである、「学問の発展」にも貢献できる研究者になる必要があります。
ですので、修士課程での研究よりも臨床が見えにくくなるケースもあります(僕が専攻している管理系はとくに)。ですが、看護学の発展の先には、必ず臨床現場へのフィードバックがなくてはならないので、「看護学」としての学問の発展と、臨床現場で起きている「現象」とを研究によって結びつけ、発展させる能力が必要となります。
なんかとにかく難しそう…と感じられるかもしれません。ですが、実は看護師さんは「アセスメント」に代表されるPCDAサイクルを学生の頃から学び、臨床現場で常に「なぜだろう?」「どうすればもっとよくなるだろう?」「どういうアプローチが効果的だろう?」と、ある種研究的視点を持ちながら働いています。研究もPCDAサイクルを回して発展していくので、看護研究のコツを学習しさえすれば、他の分野の人たちに比べるとずっと研究に馴染みやすいのではないかな〜と思ったりもします。
ご自身のキャリアアップの一つの選択肢として、大学院進学を考えてみてはいかがでしょうか?