こんにちは( ^ω^ )
関東は梅雨明け19日に梅雨明け発表されましたね☆とはいえ、ここ最近は梅雨といってもあまり雨が降っている印象がありませんが…それでもいよいよ夏本番、って感じですね( ´∀`)
※写真はとある日の皇居です
今回は表題の通り、看護師にとってとても重要な「ワーク・ライフ・バランス」の内容について概観してみようと思います。
ワーク・ライフ・バランスの背景
ワーク・ライフ・バランスが注目される背景として、2つの背景要因があると言われている。
第1の理由は、働き盛り世代を取り巻く産業構造の変化(第一次産業から第三次産業へ)、働き方の多様化(裁量労働制、フレックス勤務、在宅勤務、個人事業など)、情報技術の進歩などが理由としてあげられる。
特に、第三次産業が盛んになったことで、様々な職種において24時間365日体制でのサービス提供が一般的となり、仕事とプライベートの境界が曖昧になってきたことにより、ワーク・ライフ・バランスも不安定になったことが大きな理由である。
第2の理由は、家庭環境の変化である。1996年以降、共働き世帯は片働き世帯を上回り、その数は今も増加している(内閣府 2013)。以前のように家庭における役割は分担しづらくなっており、夫婦ともに仕事と家庭の役割を担う必要が出てきたことも理由としてあげられる。
(内閣府男女共同参画局ホームページより)
仕事-家庭間の役割葛藤
これまで、ワーク・ライフ・バランスを考える上で重要視されてきた概念に「仕事-家庭葛藤 work-life conflict」がある。この概念は、仕事役割と家庭役割とが相互にぶつかり合うことから発生する役割葛藤(Kahn et al. 1964)とされており、
・仕事の役割が家庭の役割に影響を与えることで生じる葛藤「Work to family conflict: WFC」と、
・家庭の役割が仕事の役割に影響を与えることで生じる葛藤「Family to work conflict: FWC」
に分けられる。具体的に、WFCは例えば残業が多くて家庭での親役割を十分に果たすことができないことによる心理的葛藤をさし、FWCは育児が忙しいことにより仕事での役割を遂行することが困難なことによる心理的葛藤をさす。
従来は、こうした役割が増え十分に対処できない場合の影響について検討されてきた。これは、NIOSH職業性ストレスモデルをはじめとするそのほかのストレスモデルがベースとなっている。
しかし近年、それぞれの役割での経験が他方の役割に影響を及ぼすスピルオーバーという考え方に注目が集まっている。
スピルオーバー
スピルオーバーは、一方の役割における状況や経験が他方の役割における状況や経験にも影響を及ぼすと定義される。前述の役割葛藤とは異なり、複数の役割従事による負担や葛藤などのネガティブな感情にも焦点を当てたものである。
スピルオーバーにはネガティブとポジティブ、さらに影響の方向による4つのパターンがある。
ネガティブ・スピルオーバーは、「人々が持つ時間や能力は有限であり、役割が増えると1つの役割に割く時間や能力が足りなくなる」という欠乏仮説(Marks 1977)によって説明される。一方でポジティブ・スピルオーバーは、仕事生活や家庭生活など複数の役割を持つことで相互の役割に良い影響を及ぼし合うことに注目した概念であり、「人々が持つ時間や能力は拡張的で、役割が増えると収入や経験、自己実現や拠り所が増える」という役割増大仮説(Barnett & Hyde 2001)から発展した。それぞれ、仕事→家庭と家庭→仕事の2方向を有している。
ワーク・ライフ・バランスに影響を与えるもの、ワーク・ライフ・バランスから影響を受けるもの
ワーク・ライフ・バランスの先行因子およびアウトカムは、メタ分析によって明らかにされている。
先行因子
・仕事の負担(量的負担、情緒的負担など)が仕事→家庭のネガティブ・スピルオーバーを高めること
・仕事の資源(職場での裁量権やサポートなど)がポジティブ・スピルオーバーを高めること
・家庭での負担(量的負担、情緒的負担など)が家庭→仕事のネガティブ・スピルオーバーを高めること
・家庭での資源(家庭での裁量権やサポートなど)が家庭→仕事のポジティブ・スピルオーバーを高めること
が明らかになっている。
アウトカム
・仕事→家庭および家庭→仕事のネガティブ・スピルオーバーが、健康(身体的、精神的)や満足感(仕事、家庭)、パフォーマンスなどとマイナスの影響があること
・仕事→家庭および家庭→仕事のポジティブ・スピルオーバーがそれぞれのアウトカムにプラスの影響があること
が明らかになっている。
そのほか、個人の特徴や家庭状況などは、それぞれの変数に直接的影響を与えているほか、調整する要因としても位置付けられている。
クロスオーバー
近年の研究で、ワーク・ライフ・バランスは個人内の影響だけでなく、個人間の影響(クロスオーバー)についても検討されている。
クロスオーバーとは、ある個人の感情や態度が別の個人に「伝播する」現象であり(Westman 2001)、夫婦間だけでなく職場内の同僚や上司の間でも明らかにされている。
先行研究では、主に共働きの夫婦において、一方の心理的変化(ストレスやワークエンゲイジメント)がパートナーの心理状況に影響を与えることが明らかにされている。
クロスオーバーのプロセスとして、
①共感性を通じてパートナー間で直接的なクロスオーバーが生じる(直接クロスオーバー)
②パートナーが同じストレッサー(経済問題や生活上のイベントなど)を共有する結果、同じようなストレス反応(否定的感情など)を経験する
③パートナー間でやり取りされるコミュニケーションや相互作用(対処方略、サポートの欠如など)によって媒介する
という3つのプロセスが提示されている(Westman 2006)。
いかがでしたでしょうか。次回はワーク・ライフ・バランスの研究について概観できたら、と思っています。閲覧いただきありがとうございました(°∀° )質問等ございましたらTwitter等でお願いします☆