【コラム】大学院受験:ストレートで大学院進学か否か?
今回は少し学部学生向けの記事になると思います。
教員、大学院生両方の立場で、看護学生が学部卒業後すぐに大学院に進学すべきかどうかを悩んでいる場面を最近見かけるので、ストレートで大学院に進学した学生・臨床経験を経て大学院に進学した学生それぞれを見て、また自分の経験も踏まえて自分の考えについて書いてみようと思います。
看護系大学院の特徴
看護系大学院は、言わずもがな、臨床を経験した人たちの方が圧倒的に多いのは周知の事実です。
看護学は実学ですので、臨床で経験したことを学術的に探求したい、あるいは臨床での葛藤を学術的に解決したい、という思いで進学する人がほとんどです。
また、中には僕のように、学部生だったときに、「~~の実態はどうなっているのだろう?」と、やや研究的な視点で臨床に出て、また大学に戻ってそのリサーチクエスチョンを研究する、という人も多いでしょう。
いずれにしても、多かれ少なかれ、やはり現場経験の持った人たちが圧倒的多数を占めるのは事実です。
大学院の特性
以前の記事でも書きましたが、大学院は「学ぶところ」というより「研究をするところ」です。特に、いわゆる有名な大学だとなおさら、学術的に看護を扱うことが多くなります(もちろん、机上の空論にならないような研究・教育体制にはなっていますが)。そして、最終的な目標は「学位を取ること」です。
つまり、「学ぶ」というよりも、「探求する」「領域の知見を発展させる」といった趣向です。
結局どちらが良いのか
結論から言えば、僕の考えでは「分野によりけり」だと思います。
なんじゃそれー!と思うかもしれませんが、そうなんですもん。
例えば、創傷ケアや認知症者の見守りシステム、ビッグデータを扱うような研究領域に興味があるのであれば、ストレートで大学院に行ってもあまり問題ないかと思います。今あげたような領域は、実際看護師じゃない理工学系の方や経済系の方なんかも研究室に所属しているくらいですし、実際研究内容も、その領域に関する知識を持っていればある程度対応できると思います。
一方で、人的管理や患者の心理面、極めて看護的なケアに関するような研究領域に興味あるのであれば、一度臨床を経験することをオススメします。臨床で起きている現象を捉えようとするこれらの領域では、経験の有無でリサーチクエスチョンや結果の考察の質が大きく変わると思っています。
まとめると、ケアそのものの技術や人ではないデバイスの開発、制度や政策に関する研究領域では、ストレートで進学しても、講義やゼミについていけると思います。ですが、看護師や患者の心理面や、退院支援や家族支援といったいわゆる看護に関する研究領域では、臨床での経験が研究に大きく関わってくるので、臨床で経験を積んでから進学することをオススメします。
余談ですが、看護の研究室に所属した場合、大学院生には学部の基礎教育の手伝いをお願いされることが多いので、そういったところでも、臨床で経験を積んでいたほうが良いかもしれません。さらに言うと、大学院在学中のアルバイトも、経験があると看護師として効率よく稼ぐことができるのも、臨床経験を積むメリットかなと思います。