海外学術雑誌からみる最新の看護管理1

こんにちは〜

このシリーズでは、海外の看護系学術雑誌に投稿された研究論文の解説をしたいと思います。

僕の専門である看護管理系の論文が主になりますが、英語が苦手、でも海外の研究結果について興味がある!という方と最新の知見について共有したいと思います。




海外の研究結果【Journal of Nursing Management】2018年1月号(隔月発刊)

10本の原著論文が掲載(量的研究:4 質的研究:4 介入研究:1 文献レビューなど:1)されています。さっそく中身を見ていきましょう。

Barriers and facilitators of care for diverse patients: Nurse leader perspectives and nurse manager implication

多様な患者ケアの障壁と促進因子:看護師長の視点と看護管理者の実践

様々な文化的背景や言語を持つ人たちを対象にケアを行うアメリカの研究者らしいテーマで、日本の医療現場ではあまり関係のないテーマのようですが、グローバリゼーションの加速やオリンピックの開催によって、日本の医療現場にも多くの外国人が訪れつつあります。多様な背景を持つ患者にケアを行う際に障害となることや促進することについて、現場の管理者の視点を内容分析(質的研究方法の一つ)によって明らかにしています。

 

Interprofessional collaboration between junior doctors and nurses in the general ward setting: A qualitative exploratory study

一般病棟における若手医師と看護師間の専門職連携:質的探索的研究

一般病棟における若手医師と看護師との協働・連携は患者ケアに影響することが考えられ、そうしたリサーチクエスチョン(RQ)に関して若手医師と看護師を対象にインタビューを行い主題分析(質的研究方法の一つ)によって探索的に明らかにしています。

若手医師と看護師は双方とも協働・連携によって患者ケアがより良いものになることを理解しているものの、業務量の多さや組織的制限、異なる管理体制によって協働の実現に対し苦慮しています。看護師は、効果的な専門職連携を促進するために、患者ケアに関する意思決定プロセスにより責任を持つ必要があります。

 

Burnout syndrome in nurses working in palliative care units: An analysis of associated factors

緩和ケア病棟で働く看護師のバーンアウト:関連因子の分析

看護師のバーンアウトに関連する因子を解析した研究は過去多くありましたが、本研究は緩和ケア病棟で働く看護師に着目したバーンアウト研究です。メキシコの緩和ケア病棟で働く看護師185名を対象に行われ、ロジスティック回帰分析(統計手法の一つ)によって明らかにしています。

片親であること、1日8時間以上働いていること、中~高程度の業務量であること、専門職としての生活の質が欠如していること、セルフケア不足が高いバーンアウトに影響していました。着眼点として緩和ケア病棟に着目していましたが、結果は先行研究同様の結果であり、正直なぜこの論文がこんなトップジャーナルに掲載されたのかな…という気はします。サンプル数や分析方法に関しても、目新しいことは少なく、悪い意味でちょっと勇気付けられる論文でした(´ー`)




The impact of long work hours and shift work on cognitive errors in nurses

看護師の認知的エラーにおける長時間労働とシフト勤務の影響

読んで字のごとく、看護師のエラーと長時間労働・シフト勤務との関連を検証した研究です。8時間交代勤務者と12時間交代勤務者、計28人を対象に、活動記録、睡眠日誌、勤務後アンケートを4回連続で評価して行われました。12時間交代勤務者のほうが、8時間交代勤務者よりも睡眠時間が短く、睡眠効率が悪いものの、認知的エラーに関しては違いは見られませんでした。この研究結果も、着目したものに関しては研究者が望んだ結果は出ず、先行研究と同様の結果となりました。

 

Predicting variations to missed nursing care: A three-nation comparison

見逃した看護ケアの変化を予測する:3カ国比較

オーストラリア人、キプロス人、イタリア人の3カ国の看護師について、どのケアが欠如していて、欠如に影響する要因は何かを明らかにした研究です。欠如したケアの頻度に影響する要因として、年齢、学歴、欠勤率、職場タイプの4つの要因が影響することが明らかになりました。

本文を精読していませんが、テーマとしては興味深いなあと思いました。ケアを見落とす、あるいはケアを行わないことに影響する要因、という着眼点ですが、こうした個人の属性に焦点を当てるのは少し疑問が残りました。

 

Cultivating a culture of research in nursing through a journal club for leaders: A pilot study

ジャーナルクラブリーダーによる看護研究文化の育成:パイロット研究

海外の看護師は、定期的に最新の知見を共有するため定期的に抄読会(ジャーナルクラブ)を開催しているところが多いです。それを取りまとめるリーダーがアクション・ラーニングを通して看護研究の文化を育てることについての研究です。

内容分析(質的研究方法の一つ)を用いて、検証したアクション・ラーニングの介入とファシリテーション能力が看護研究文化を育てるために重要であることが明らかになりました。

論文は精読していませんが、日本でも看護研究を行う職場が増えてきていますが、チームが独自に行なっている印象です。勉強会の一種として、こうした最新の研究知見を共有することでクリティカルシンキングの能力が高められるのかな、と感じました。

 

Consensus achievement of leadership, organizational and individual factors that influence safety climate: Implications for nursing management

安全風土に影響するリーダーシップの合意形成、組織と個人要因:看護管理への示唆

変革型リーダーシップと安全風土の関係に影響する要因のモデルを作り出すこと、その中での媒介要因、鑑賞要因に関係する仮説モデルを作り出すことを目的に、文献レビューとデルファイ法によってモデルの生成を行なったものです。

変革型リーダーシップは、以前の記事で紹介したのでそちらを参照していただければと思います。デルファイ法とは、多数の専門家に対しアンケート調査を繰り返し、専門家集団の意見を集約していく研究手法のひとつです。

今回の研究では、40の要因が明らかになったようです。全ての因子はあげられませんが、リーダーシップでは目標へのコミュニケーション、安全へのコミットメント、サポートやエンパワメントが抽出され、組織的特徴ではスタッフと患者整理、信頼性の高い組織概念を持つことなどが抽出され、個人要因では周囲に対するレジリエンスやエンゲイジメントがあげられました。

読み込むと面白そうな論文の一つかなと感じました。また、臨床で働く皆さんもこの研究であげられた要因について、ご自身の職場を振り返ってみてはいかがでしょうか。

 

Is modified brief assertiveness training for nurses effective? A single-group study with long-term follow-up

看護の効果に対する簡単なアサーティブトレーニングは修正されていますか?単一グループによる長期的フォローアップ研究

こちらは日本での研究のようです。アサーティブの概念も日本の看護界で話題になっているテーマの一つではあります(すこし古いような気もするけど)。アサーティブとは、自己主張することです。単に自分の言いたいことを相手に伝えるだけでなく、円滑で効果的なコミュニケーションの中のひとつの考え方としての「自己主張」です。

現場でのトレーニングを通じて、アサーティブはどう変化したか、という研究になります。6ヶ月の介入(トレーニング)の結果、アサーティブスコアを見ると有意に効果があり、先行研究で行われた短期間のトレーニングよりも効果があった、と結論づけています。

これも臨床的に有意義なテーマではあると思いますが…介入研究の解釈の落とし穴として、このような研究モデルの場合、介入前後で比較することも良いとは思いますが、介入していない群と比較しないと本当に効果があったかは疑問が残ります。


他の2本の論文については、記事が少し長くなってしまったので割愛させていただきます|ω・´)…

もし興味がある!という方がいましたら、コメントやTwitterで教えていただければ解説をしたいと思います。

寒い日が続いていますが体調に気をつけてくださいね!




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