【コラム】これからの看護師教育のあり方についての雑記

看護師を育てる…難しいですよね。

今回は看護師教育の展望についての自分の考えを書いていこうと思います。教育技術的なことではなく、概論的な内容ですのであらかじめご了承くださいm(_ _)m




看護師が迎えている現状

ご存知の通り、地域医療構想によって、いわゆる急性期病床の多くは回復期や慢性期への移行を余儀なくされていきます。これは、病棟や病床の機能分化を明確にし、限りある医療資源を適切に配分するためのものです。

すでに今年度の診療報酬改定で、入院基本料の絶対的基準であった看護職の配置基準が影を潜め、各医療施設が看護師をかき集める時代は終焉を迎えようとしています。

つまり、現在多くの看護師が就業している場(急性期病院)での就職は減っていくことが予測されます。と同時に、地域の病院や在宅医療領域での就職が増えていくことが予測されます。

しかしながら、多くの新卒看護師は、技術や基礎能力をつけたいという希望があり、教育ラダーがしっかりしている・たくさんの症例を経験できる大病院への就職希望が依然として高いのも現状です。

看護師教育の現状

2010年に施行された、新人看護職員の臨床研修等の努力義務により、新人看護職員の研修ガイドラインが厚生労働省から、2014年には日本看護協会版・看護師のクリニカルラダーが公表されました。こうした臨床教育の均てん化によって、教育にかかる時間や質・効率などが改善し現在ではこの取り組みが定着していることがうかがえます。

と同時に、いくつかあらたな課題も浮き彫りになっています。

課題1:クリニカルラダーを導入できる施設が偏在している

人員や時間的余裕のない施設はしっかりとしたラダーを組むことができず、結果として一部の余裕のある(多くは大病院)のみがしっかりとラダーを実行できるような状況にあります。

先に書いたように、新卒者や看護技術に不安を抱える既卒者は、教育体制がしっかりしている施設への就職を希望する傾向にあり、人材や時間的な余裕のない施設はしっかりとしたラダーを組むことができず、結果的に大病院に看護師教育・教育必要人材が偏在することとなっています。

課題2:施設内で使える看護師教育に焦点化し過ぎている

クリニカルラダーの導入によって、過去に比べて看護技術の均てん化が図られたことは喜ばしいことです。

ですが、看護師を育てること=クリニカルラダーを達成することではありませんし、施設内だけで通用する看護師を育てることでもないと個人的には思っています。(もちろん、まずは自施設の自部署できちんと働ける看護師を育てることは大切です。)

そもそも日本看護協会がクリニカルラダーのモデルを公表している背景として、どこの施設で学んでも、経験年数に応じておおよそ同じくらいの教育水準を担保すること、つまり施設外へ羽ばたいていくことも見越しているのです。

ローカルルールの蔓延や過度に施設用に改変されたクリニカルラダー、「ここではこうなのよ」といった経験論の押し付けなどがときどき見受けられるのも事実です。それでは施設外でも通用する看護能力をつけることは難しいので、結果的に施設外で看護実践する選択肢が消えてしまいますし、そうした選択をしたとしても、「前いた施設とはやり方が違う」と、また教育し直さなくてはならないので、コストがかかってしまいます。




個人的展望

新卒から在宅の場を選択する人・希望する人は増えつつあるものの、まだ病院就職の希望は高いのが現状です。これまで論じたように、新卒看護師が病院就職を望むことは悪くないですし、個人の選択なので操作することはできません(僕が新卒だった頃より、新卒で在宅領域を選べるようになって個人的にはとても嬉しい!)。

しかし、病院至上主義の医療が崩壊しつつある中で、看護師の活躍する場も広がりを見せています。その中で、看護師の初期キャリアを開発する役割を負っている施設は、施設内で通用する看護師を育てるだけでなく、後方病院や在宅、高齢者施設など多様な感覚を養える看護師教育を展開する必要があると思います。

すでに、3年目以降の希望した看護師を訪問看護ステーションに出向させたり、高齢者施設や療養病棟と連携して、一定期間特定の実践環境で学ぶことを推奨している施設もあります。他にも、在宅領域だけでなく特定行為研修を若手教育の一環として取り入れている施設もあります。

施設内の看護師を育てるのではなく、育てた看護師を地域に羽ばたかせる形での臨床教育が今後望まれているのではないかと思っています。




最後に

看護師を育てるのは、時間もお金も労力もかかります。臨床で教育に携わる全ての人たちに敬意を表するとともに、少しでも看護にコミットした人材を基礎教育で育て、臨床で教育する側・される側双方にとって良い将来がくるよう僕なりにがんばりたいと思います。

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