家族看護学2 〜家族発達理論〜
こんにちは(°∀° )
そろそろ夏も終わり、涼しい日も多くなって来ましたね。寝苦しい朝から解放されたのは嬉しいですが、体調管理も難しい季節で、みなさんも風邪などひかれないようご注意ください…!
さて今回は、家族看護理論の「家族発達理論」について書いていこうと思います。前回の概論についてはこちらをクリック)
家族発達理論の基本
家族発達理論、は家族の変化過程を家族そのものの発達、成長であると捉え、その家族のたどる周期的変化の各期を家族周期(ファミリー・ライフサイクル)で表し、それぞれの時期に特有の家族の発達課題があると考えます。
2つの基本的な考え方があって、①家族は時間的経過のなかで連続的な発達段階をたどる ②家族は発達段階に応じた固有の発達課題を持つ という2つの考え方がベースになっています。それぞれの考え方を簡単に説明すると、
①家族のライフサイクルとは、様々な背景(異なる世代、性別、発達段階)を持つ家族員からなる家族を、時間的流れの中で変化する発達過程をたどる1つの生命体として捉えようとする視点で、個人の発達段階と同じように、1単位としての家族自体も連続的な発達段階を経ていくというもの。
それぞれの家族は独自の発達段階を歩んでいく一方で、どの家族にも共通した普遍的な発達経緯に沿っていくとも考えられており、家族発達理論はこの多くの家族に共通している普遍的な発達経緯に焦点を当てています。
②家族の発達段階においてはその段階での固有の生活現象や発達課題があります。これを遂行し、健康問題を予防、解決することで家族は集団として成長・発達し、家族の健康を維持しながら次の段階に移行していくことができます。1つの家族内に家族員個々のライフステージと家族のライフステージが共存していて、家族員の発達課題を達成しつつ、家族の発達課題を達成していくことが求められます。
家族発達理論に基づく家族へのアセスメントと介入
上で説明した通り、家族周期の各期にはそれぞれがその段階で重点的に取り組むべき課題があって、各家族周期での課題を徐々に達成しつつ次の段階へ移行していきますが、そこではまた新たな課題が待ち受けています。
また、何らかの健康問題を抱えている家族は、「発達段階における課題(発達的危機)」と、「病気の家族員を抱えていることによる問題(状況的危機)」の2つの危機を経験していることになります。発達的危機は、発達段階で必然的に経験する予測可能な危機であるのに対し、状況的危機は偶発的に経験する家族員の病気や怪我、死、離別、障害児の出産などのストレッサーによる生活上の変化が生じ、身体的、心理的、社会的な安定感を脅かす予測困難な危機となります。
家族周期における移行期にある家族は、前の発達段階から次の課題への転換が求められますが、その転換がうまくいかないと危機的移行(Critidal Transition)に陥る可能性があります。
そのため看護師は、家族がいまどの発達課題をたどっているのか、どのような状況的危機・発達的危機に直面しているのか、それによって家族の発達課題が阻害されていないか、新たな発達上の問題が生じていないかなど、家族の直面している危機をアセスメントする必要があります。また、家族内・外にある資源も同時に評価し、生じている危機を家族自らが乗り越えていけるよう支援することが求められます。
家族発達理論の注意点
お察しの通り、家族の発達は一様ではなく、一定の枠組みだけで捉えるには限界があります。また、パート1のブログで説明したように、家族の形態や昨日も多様化しているため、画一的に捉えるのではなく、今後説明予定の様々な他の理論も用いながら広い視野で家族を捉え支援していく必要がある。
いかがだったでしょうか?「家族発達理論」、簡単に言うと読んで字のごとく、複数の人からなる家族も、個人と同じように成長していく存在であり、その成長過程でクリアすべき課題がある、というものでした。
育児をしている親の中には、育児が上手くいかず、悩んだり葛藤を抱く親も少なくありません。僕は小児科にいたとき、「子どもが1歳ならお母さん、お父さんもまだ1年生。一緒に成長できればそれで良いんですよ」と伝えていました。
個人の発達に関する記事も書いているので、こちらも一緒にみていただけると理解が深まるかもしれません。
◆参考文献
・鈴木和子、渡辺裕子(2015) 家族看護 理論と実践 第4販,日本看護協会出版会
・法橋尚宏(2010) 新しい家族看護学 理論・実践・研究,メヂカルフレンド社
・野嶋佐由美監訳(1994) 家族看護学 理論とアセスメント,へるす出版
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こんにちは!「表2 家族の発達課題」はどの文献から引用しているか教えてくださるとうれしいです。
研究で使用したいのですが、コロナの影響で図書館が使用できず困っています。
コメントありがとうございます。私も今在宅勤務中ということと、専門領域でないということもあって、具体的にどの文献からの引用だったかお答えできかねますが、下部に示している文献のどれかだったと思います。明確にお答えできず申し訳ありません。